One IT Thing

IT業界を楽しむ為の学習系雑記

android AppStore GooglePlay iOS PWA

PWAストアの実現性についての考察

投稿日:2019年5月20日 更新日:

(*)この記事内では「Google Play」、「App Store」、「Microsoft Store」で公開されているアプリを「ストアアプリ」と呼んでいます。

先日B2BアプリはストアアプリにするよりPWAアプリにした方が割りが良いという経験談を記事にしました。ビジネスシーンによってストア公開にはデメリットもあるという内容です。

とはいえ、折角PWAアプリを作ってもインターネット上で見込み客とエンゲージ出来なければビジネスが始まりません。

「やっぱりストアみたいに紹介してくれるサイトが欲しい。PWAマーケットみたいなサービスは無いの?」

こういったニーズはPWAがメジャーになるにつれて大きくなってくるはずです。

残念ながら2019年5月現在「純粋なPWA」を宣伝することの出来るメジャーなサービスはありません。

今後生まれることはあるのか、それを邪魔するものは居ないか、また、そこにビジネスチャンスは無いか、考察して行きたいと思います。

いきなり解決?Microsoft Storeは既にPWAアプリを公開出来る

Google Play、App Storeに先んじてMicrosoft StoreにはPWAアプリを登録することが出来ます。

Microsoft Storeで「PWA」を検索してみます。

ありました。本数が少ないのは、Microsoft Storeの検索はアプリ名と紹介文にしか引っかからない為です。

PWAアプリかどうか、で検索することは出来ないので本数や割合等は分かりません。

ですが本数的には相当数登録されているのではないか、またはされていくのではないかと思わされる情報があります。

以下は1年ちょっと前、EdgeがPWA対応すること等が発表された2018/02/06のMicrosoftブログです。


We’ve been using the Bing Crawler to identify PWAs on the web for nearly a year, and as we’ve reviewed the nearly 1.5 million candidates, 

「私たちはこの一年ほど、Bingのクローラを使ってウェブ上のPWAを識別してきました。そして150万ほどの候補を確認しました」


https://blogs.windows.com/msedgedev/2018/02/06/welcoming-progressive-web-apps-edge-windows-10/#1ZY7hmpLgydiexUj.97

Bingでインターネットをクロールしたところ150万のPWAが見つかったそうです。

去年2018年のストアアプリ登録本数がGoogle Play(320万本)、App Store(160万本)だそうですから、本数的には肉薄して来ています。

ServiceWorkerを少し実装したWebサイトに毛が生えた程度のものも相当数あるにせよ、ストア審査が無くWebに公開すれば終わりのPWAはあっという間に本数は増えるでしょう。数年で1000万は楽に超えるのではないでしょうか。

さらにこんなことも書いてあります。


Over the coming weeks, we’re also kicking off some experiments with crawling and indexing quality PWAs from the Web to list them in the Microsoft Store, where users can find them just like any other app on Windows 10.

「今後数週間のうちに、Webから品質の高いPWAをクロールしてインデックスを作成する実験をいくつか開始し、Microsoftストアでそれらを一覧表示します。そこではユーザーはWindows 10の他のアプリと同じようにPWAアプリを見つけることができます。」


https://blogs.windows.com/msedgedev/2018/02/06/welcoming-progressive-web-apps-edge-windows-10/#1ZY7hmpLgydiexUj.97

公開していたPWAアプリが「質が高い」と判断されると自動でMicrosoft Storeに登録される・・・マジですかMicrosoftさん。公開されたくない開発者も居るかも知れないのにチャレンジング過ぎやしませんか

ともあれ、Microsoft Storeで公開出来るなら有力なPWA紹介媒体一つゲットですね!

だったら良かったんですが

残念ながら、Microsoft StoreからインストールしたPWAアプリはEdgeでしか動きません。

Android、iPhone、Mac、Chrome、Safari、Firefoxを使っている非Windows環境な人はインストールが出来ないのです。

そりゃあMicrosoftさん的にもストアで公開しているものをAndroidやiPhoneからインストールされてもメリット無いでしょうしね。

ブラウザ上で動き、AndroidだろうがiOSだろうがWindowsだろうが、対応ブラウザが入っていればOS関係なくインストールでき、動作するのがPWAの良いところです。Windowsでしか動ないとなるとその良さが大きく損なわれます。

正直な所Edgeでしか使えないならブラウザアプリのままにしておいた方がマシです。

Windows + Edge以外の環境で動くPWAアプリ紹介サイトとなるとGoogle、AppleにもMicrosoftがやったのと同じようにPWAストアを作って貰う必要がありそうです。

ですが・・・

Google、Appleはストアアプリで儲かっていてPWAストア開設を期待できない

正直なところMicrosoftがPWAをMicrosoft Storeに入れていいことにしたのはストアビジネスが上手く行っておらず、本数を増やしてヒットを待つ戦略を取ったからではないかと思います。

逆にGoogle、Appleは現状のストア運営スタイルが好調で、2つのストアの売上合計は2017年には820億ドル(9兆1000億円)だったのが、2022年には1570億ドル(約17兆4000億円)にまで大きくなると予想されています。

現状の厳格なストア運営ルールを考えると、ストア公開する必要が無く、ストア課金APIを使わなくてもいい純粋なPWAアプリを、わざわざこの好調な両ストアに公開出来るようにしてくれるとはちょっと考え難いです。

(*)(GoogleはTWAという形でPWAをGoogle Playに登録出来るようになりますが、TWAは要するに「ネイティブ アプリでWebアプリを読み込むハイブリッドアプリ」なので最早PWAとは呼べず、課金も悪名高いアプリ内課金APIを使う必要が有ります)

既存ストアとは別途PWAストアを開設する可能性も、本ストアの売り上げを邪魔してしまう可能性もありますし、TWAの無理くり感を見るとやはり実現度が低いのではないかと思っています。

ただ好調なGoogle Play、Apple Storeにも課題はあります。

昨今Google、Appleに対するストア関連訴訟の話題に事欠きません。世界中で独禁法抵触の可能性を指摘されていますし、いつかストアの方針も変わるかも知れません。

もしかしたらPayプラットフォーム戦争がPWAストアを産むかも

両社は恐らく、Google Pay、Apple Payを全人類のお財布にしようとしています。PWAで決済をするにはクレジットカード決済を使いますが、両Payともこれが出来る技術です。

ストアのみの決済よりも世の中全ての決済に両Payが使われるようにするのが計画だとしたら、現実世界の「ピッ」決済だけでなく、アプリの中の世界、PWAの決済も両Payで出来るようにするはずですし、実際既に出来るインターフェースも公開されています。

Google Pay、Apple Payで手数料を取れる範囲を広げれば、アプリ内課金で30%という法外な手数料を取るよりも効率のいいビジネスになる可能性があります。

その一環でPWAプラットフォームをサポートするストアを作ってもいいかも。となる可能性はゼロじゃないと思います。

ただ、もし別途PWAストアを作ったとしても、Microsoftと同じように、Chrome、またはSafariにしかインストール出来ないストアになるのではないでしょうか。

どんなブラウザでアクセスしてもPWAインストールが可能な汎用的、中立的なストアにはならないのではないか、と思います。

他社のブラウザにインストールさせる為に運営コストを掛ける意味はありませんから。

そこにビジネスチャンスは無いか

Google、Apple、Facebook、Amazon、彼らが巨大なのは、ストア利用者や広告主など放っておいても第三者が商品やお金を入れてくれる「プラットフォームビジネス」モデルを持っていることが一つの要因です 。

そしてPWAは単なる技術の集合体名称であり、AndroidやiPhoneのように帰属先が無く、ストアを始めるのに著作権的な制約が有りません。

中立的な立ち位置で、どのブラウザでアクセスしてもインストールが可能なストアを開発、運営し、掲載料を徴収することが出来ればプラットフォームビジネスを持てるかも知れません。

仮に年間公開料をアプリ1本1000円として、控えめに10万本(GooglePlay登録アプリ本数の1/30)のPWAアプリ登録を達成出来れば年商1億2000万円のプラットフォームになります。

PWAの総本数が今後増えること、PWAを通じてマネタイズしたいと考えるベンダが増えることを考えると伸びしろも十分です。

プラスアルファの展開として、人が集まるサイトは広告媒体に成り得るのでgoogleやyahooに出稿料を支払って広告を出すように、開設したPWAストアでも広告出展を受け付けることで更なる収益も見込めます。

ストア開設する際の課題

ただ課題として、自由にアプリを登録出来るようになれば公序良俗に反するPWAが氾濫し、社会的制裁を受けてサービス継続出来なくなる危険があります。

現在GoogleやAppleがやっているように、そういったアプリを弾く機構が必要です。そうなると以下のようなものが開設する条件になって来そうです。

  • カスタマイズ可能な機械審査AIの調達
  • 莫大なレビュー人件費の担保
  • ダウンロードしても安心な社会的信頼性
  • 検索力、広告力のあるドメインパワー

これらはビジネスを起こしやすい、フットワークの軽いベンチャーや中小では逆に揃えるのは難しいと思われ、寧ろ大企業の方が達成し易い条件です。

カスタマイズできるAIを持っていて、人件費を出せて、信頼の厚い大手IT企業。何社か思い当たります。

でも日本でそういった大手企業はは新規ビジネスに腰が重い印象が有りますね・・・一世代くらい時代が回ればいい加減重い腰を上げられるのかも知れませんが。

結論

PWAアプリの宣伝をしたいなら、やはりランディングページを作って各種SNSから流入させる方法が、結局現状では一番確実だと思います。

プラットフォームを気にしない共通的なPWAストアに関してはいつ出来るか、
誰がやるのかも分かりません。(Amazonあたり中立的に出来そうですが)

ただ確実に言えることは、計画的な広告戦略を持たないとPWAアプリが発見され難く、ストアやマーケットのニーズが今後高まるであろうということです。

PWAストアが出来るのを待つのであれば、前述の課題を解決する良案を考え、自分でストアビジネスを始めてみるのも一興かも知れません。

もしかしたら「ITビジネス界の寵児」とか、胡散臭いあだ名をメディアに付けられるかも。

補足

「まとめサイト」レベルでは現状でもpwa.rocksというサイトが存在しています。githubでソースも公開されています。

-android, AppStore, GooglePlay, iOS, PWA

執筆者:

関連記事

Cordovaのconfig.xmlのid属性値を動的に切り替える

目次1 目的2 対策3 変えたことを忘れてもいいように4 まとめ 目的 レアなケースかも知れませんが、スマホアプリを開発する上で運営と開発のApple Developperライセンスを職務分掌的に統一 …

UserAgent判定JSライブラリ「UAParser.js」と「Platform.js」の比較

(私はUAParser.jsを使っています) ネットを探すとUA文字列を解析してブラウザ判定をするコードが一杯出てきます。 でもUA解析プログラムを自前で作ってシステムに組み込むとなると、新しいブラウ …

Android操作動画をGIF画像化する(Windows編)

Web上のスマホ操作説明に動画を入れ、直感的で分かり易くしたいことがあります。 Android + Windows環境かつ無料で行う場合は「AZ スクリーンレコーダー」と「openAVItoGIF」の …

Termuxで動作が確認できたターミナルゲーム4つ

Android端末をroot化せずにLinux環境を独自構築する神アプリ「Termux」。  play.google.comTermux – Apps on Google Playhttps …

History APIを使ってIonic(3以前のSPA)でブラウザの戻るボタンやAndroidバックキーを押すと前サイトに戻ってしまう件に対応する

Ionic2や3ではまだAngular Routerを採用していなかったので、ページ遷移をしてもブラウザ履歴が積まれず、Androidのバックキーやブラウザの戻るボタンを押すとサイトに入ってくる前のペ …


shingo nakanishi。東京で消耗中の職歴20年越え中年ITエンジニアです。「生涯現役プログラマを楽しむ」ことができる働き方探しをライフワークにしています。

19歳(1996年)から書き始めた個人日記が5,000日を超え、残りの人生は発信をして行きたいと思い、令和元日からこのサイトを開始しました。勉強と試行錯誤をしながら、自分が経験したIT関連情報を投稿しています。